NISSO CONNECTでは、シリーズ企画として、日総グループの企業をご紹介していきたいと考えています。その第1回目を飾るのは「日総ぴゅあ」です。
日総グループは、「人を育て 人を活かす」の創業理念のもと、製造系人材派遣を中心とした総合人材サービスを展開していますが、日総ぴゅあは障がい者雇用において、その創業理念を実践・具現化しています。
「純粋」「澄んだ」「汚(けが)れない」という意味をもつ“ぴゅあ(pure)”を用いた社名を持つ「日総ぴゅあ」とは、どのような会社なのでしょうか。
2007年に設立されたグループ企業「日総ぴゅあ」
横浜市港北区新横浜の日総工産新横浜ビルに本社を置く「日総ぴゅあ株式会社」(以下 日総ぴゅあ)は、2007年4月に設立された日総工産株式会社の特例子会社です。
日総ぴゅあは障がい者雇用の推進により、創業以来、日総グループに課せられた社会的責任の一翼を担ってきました。最近では自社の障がい者雇用のみならず、日総工産の請負職場における障がい者雇用推進のサポートにも取り組んでおります。
CS社員ファーストを実践する、社内の共通理解
「日総ぴゅあ」では、「障がいをもつ人に、常に挑戦し続けてほしい」という思いを込め、障がい者社員を「CS(チャレンジドスタッフ)社員」と呼んでいます。
「日総ぴゅあ」の特徴の一つとして経営の軸に「CS社員ファースト」を掲げている点があげられます。「CS社員ファースト」とはすべての発想や行動の原点にCS社員の成長を最優先するという考え方で、以下の項目を社内の共通理解にすえています。
- 【決めつけない】既成概念にとらわれず「できる」「できない」を決めつけない
- 【チャレンジ機会や、チャンスは公平に】CS社員の個性や特性、障がいの重さに応じた多様なチャレンジとチャンスの機会を創出する
- 【諦めない】根拠なき妥協はせず、根気よく指導を継続する
- 【追求する】現実論にとらわれ過ぎず、常に理想を追求する
様々な業務や作業に取り組む「CS社員」
「新横浜本社に変更/事業所」をはじめ「仲町台(横浜市都筑区)」「幸浦(横浜市金沢区)」「ESR幸浦DC(横浜市金沢区)」に事業所を展開する「日総ぴゅあ」は、各事業所でCS社員を中心に様々な事業に取り組んでいます。
- 一般事務代行
データ入力、名刺・資料作成、メール便配達、営業拠点への用品発送など - 清掃業務
日総工産本社ビルのクリーニングをはじめとする様々な清掃業務 - データ処理
画像などのデータにタグやメタデータを付与するアノテーション業務、請求書のデータ化、画像処理、パソコンの操作業務など - ものづくり軽作業
お菓子箱や文房具・雑貨品などの組立、加工・検査・梱包、食品・お菓子の箱折り・アッセンブリなどの流通加工、PCを使用したROM書き換え、物流倉庫内ピッキング、自動車製造備品の洗浄作業、野球用具の組立・加工など - 食品・飲料販売業務
横浜市内の福祉作業所などから仕入れたお菓子類を、日総工産本社、県内の支援学校、専門学校、老人ホーム、地域イベント等で販売など
横浜市の認証制度で高い評価。SDGsの目標達成にも貢献
横浜市長と外部委員が審査・認定を行う横浜市主催の認証制度でも「日総ぴゅあ」は高い評価を得て、認証を受けています。
また、持続可能な開発目標(SDGs)においても、「4.質の高い教育をみんなに」「10.人や国の不平等をなくそう」「3.すべての人に健康と福祉を」「5.ジェンダー平等を実現しよう」など、複数の目標達成の貢献に寄与しています。
アビリンピックで数々のメダルを獲得
さらに、障がいのある方々が日頃職場などで培った技能を競う大会「アビリンピック※」の競技にも、「日総ぴゅあ」の「CS社員」は積極的に出場しています。
※アビリンピック = 「アビリティ」(能力)と「オリンピック」を合わせた全国障害者技能競技大会の愛称
アビリンピックに出場した「日総ぴゅあ」の「CS社員」は、その高い職業能力や技能を認められ、多様な競技部門でメダル獲得の栄誉に輝いています。
- 「ワープロ部門」銀賞(2016年、2018年)
- 「ビルクリーニング部門」銀賞(2017年)
- 「ビルクリーニング部門」銅賞(2022年)
- 「縫製製品パッキング部門」銀賞(2019年、22年)
- 「縫製製品パッキング部門」銅賞(2018年、19年、23年)
- 「縫製部門」金賞・銀賞(2019年)
- 「PC入力部門」努力賞(2018年)
- 「PC入力部門」全国大会出場(2019年)
- 「オフィスアシスタント部門」銀賞(2019年)
「SS社員」(サーバントスタッフ)と、「サーバントマネジメント」
「日総ぴゅあ」では、「CS社員」のサポートにあたる指導員を「SS(サーバントスタッフ)社員」と呼びます。サーバントスタッフの名称は、“奉仕者”の意味をもつサーバント(servant)に由来します。
一般的な組織では、「上位の者が下位の者に指示を出して組織やプロジェクトを進めていく」といった縦割り構造のリーダーシップ制が敷かれていることが多いといえますが、リーダー(上位者)の権限や影響力が強くなると、ともすれば支配型なリーダーシップ制になることがあります。
しかし、若者の働き方や職業観が多様化し、年齢、性差、国籍、組織にを問わない多様な人材が活躍する「ダイバーシティ」の考え方がビジネスシーンに浸透する今日、「強い力をもつ上の者が組織を支配し、その支配者の指示に従って下の者が動く」という従来型のリーダーシップのあり方に様々な弊害が起き、組織の管理体制における「上意下達(じょういかたつ)」の仕組みにも変化が生じています。
こうした様々な変化によって「立場を問わず、すべての人が自発性をもって考え」→「意思決定を行い」→「決めたことをやりきる」……という好循環型の組織に改革する企業が増えていますし、この動きとあいまって、従来型の「強いリーダーシップ」や「支配型リーダー」とは種類や質が異なる「サーバントリーダー」と呼ばれる新たなリーダー像に、いま注目が集まっているのです。
サーバントリーダーとは、米国のマネジメント研究で知られるロバート・グリーンリーフ氏が1970年代に提唱したもので、グリーンリーフ氏は優れたリーダーについて以下のように説いています。
—— 優れたリーダーには、部下の目線に立って教育・指導する奉仕の精神が求められる。
その奉仕の精神が部下の信頼を集め、結果として、部下を導くことになる ——
「サーバントリーダー」の精神は提唱から約50年が経った現在、あらためて注目を集めていますが、この「新たな組織構成」「新たなリーダー像」を実現しているのが「日総ぴゅあ」の「SS社員」(サーバントスタッフ)であり、同時に「CS社員ファースト」の考えに基づく「日総ぴゅあ」の経営も、「サーバントマネジメント」で成り立っているのです。
創業以来取り組む“人材育成”と“就労・成長・活躍”への仕掛け
「日総ぴゅあ」は創業以来、以下の7項目を実践し、「CS社員」のモチベーションの向上や能力開発に取り組んできました。
- 【日常指導】 日常の業務指導は、ジョブコーチを中心とする指導員が丁寧に指導
- 【リーダー制度】 CS社員を対象としたキャリア形成の一環として、責任ある職務を段階的に用意
- 【賞揚制度】 目標達成や努力をしたCS社員を対象に、さらなるモチベーションアップを目的とする「賞揚制度」を月度、半期、年度にわけて実施
- 【マイスター】 それぞれの分野に一定水準を設定することで、誰もが公平に、仕事のスペシャリストやマイスターをめざせるようにする
- 【前進目標】 年間目標をロッカーや業務日報に掲示するなど、CS社員が日々の目標を確認できる環境を作り、達成に向けた活動を支援する
- 【改善活動】 QCD※向上と人材育成を目的に、すべての職場で改善活動を推進
※Quality(品質)、Cost(コスト)、Delivery(納期) - 【定期面談】 専門知識を有した有資格者によって、定期的な個別面談を実施
そのほかにも、〈就労機会の創出〉→〈成長機会の創出〉〈活躍機会の創出〉の3つの機会の創出に努め、この3つの機会創出を従業員すべてが「活動コンセプト」として共有しています。
〈就労機会の創出〉「日総ぴゅあ」が考える雇用(就労)は、あくまでスタートラインになります
〈成長機会の創出〉「日総ぴゅあ」の多様な業務をとおして、可能性や潜在能力を発見します
〈活躍機会の創出〉「日総ぴゅあ」が実施する段階的育成により、広く活躍できる人材へと成長します
数値から見る「日総ぴゅあ」の魅力
「日総ぴゅあ」では、特別支援学校や就労支援センターをとおして、障がい者手帳を持つ方の採用を行っています。採用後も安定して就労できるようジョブマッチングや実習制度を採り入れ、それぞれの特性・強みを活かした成長可能な配属に取り組んでいます。
こうした採用方針や実習制度により、2007年の創業以来「CS社員」の数は右肩上がりともいえる推移で順調に増加し、2023年の時点で178名にのぼる「CS社員」が業務に従事しています。
さらに、「CS 社員」の個性である障がいについては下円グラフのとおりとなっており、勤続年数においては「10年以上」と「5年〜10年」の割合が50%以上を占め、この数字によって高い定着率が示されています。
あわせて、「CS 社員」の年代比率は「20代が56%」「30代が32%」「50代が5%」「40代が4%」「10代が3%」で、男女比率は「男性72%」「女性28%」となっています。
「日総ぴゅあ」が追い求める、“めざす、ありたい姿”
「日総ぴゅあ」には会社がめざす、“ありたい姿”があります。それは… 『CS社員の幸せな未来を創る』です。
その、ありたい姿を具現化するために
『CS 社員一人ひとりの可能性を信じ、潜在能力を引き出す』
『CS 社員が社会で活躍できる機会を提供する』
『様々な機会創出をとおして、CS 社員の自立を支援・応援する』そうした活動をとおした最終的なゴールとして、『日総ぴゅあで働く誰もが、幸せな未来を歩めるようになる』の実現を目指しています。
「CS 社員ファースト」に根ざした取り組みと段階的な機会の提供により、「CS 社員」の“自立”を多面的にサポートする「日総ぴゅあ」は、“自立”についても次のように考えています。
—— 自立とは、目的ではなく手段であるべきで、何より大切なことは
自立して終わりではなく、そこから幸せな人生を歩み続けること ——
当然ながら「自立し、幸せな人生を歩み続けること」は「CS 社員」に限定された話ではありません。「日総ぴゅあ」で働くすべての人が自立し、ともに幸せな未来を歩んでいく……。これこそが「日総ぴゅあ」の追い求める“めざす、ありたい姿”の本質だといえるでしょう。
そんなpureでありながら強い意志が感じられる「日総ぴゅあ」の代表取締役社長を務める遠藤太嘉志のメッセージを付記して、記事のしめくくりにしたいと思います。
—— 私たちは CS 社員一人ひとりの可能性を信じております。皆が社会の一員として活躍できることをめざしております。 そして、社会で自立することがゴールではなく、 そこから幸せな人生を歩み続けることが本来のめざすべき姿ではないかと考え、「CS 社員の幸せな未来を創る」というビジョンを掲げております。そして、このビジョンを具現化するため 日総ぴゅあはチャレンジを続けてまいりますので、 関係する皆さまの温かいご支援とお力添えを賜りますよう、 よろしくお願い申し上げます。
日総グループ 企業DATA
日総ぴゅあ株式会社
(日総工産株式会社100%出資)
設立 : 2007年4月2日
本社所在地 : 神奈川県横浜市港北区新横浜1-4-1 日総工産新横浜ビル新館
代表取締役社長 : 遠藤 太嘉志